音楽評論家の黒田恭一氏が亡くなった。合掌。

レコード芸術を買ってもう(だらだらと)20年にもなるが、一番忘れられないのがマーラーの「さすらう若人の歌」の録音についての文章だった。
若い頃、ディースカウ/フルヴェンの録音に心打たれた氏。しかし評論家としては次々と新しい録音を聴かねばならないが満足したものに出会えない。おかしい、おかしいと感じていて、ある日気がついた。もう自分がこの曲を聴くほど若くないのだということに。

こんな感じの流れだったと思うが、多感だった(?)大学生の頃の私の中にすっと入ってくる語り口だった。

今晩は氏を偲んでディースカウの「さすらう若人」でも聴こうか。